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循環器内科部長 兼 心筋梗塞部門長 熊田裕一
突然、発症する心筋梗塞。緊急かつ適切な処置がなされないと、死に至る危険性の高い病気です。では、心筋梗塞を防ぐためには、どんなことに注意したらいいのでしょうか。当院循環器内科兼心筋梗塞部門長の熊田裕一医師に聞きました。

心筋梗塞の多くは、前触れもなく突然やってきます。

心筋梗塞とは心臓の筋冠動脈が詰まってしまい、その先に血液が行かなくなり、心臓の筋肉が死んでしまう病気です。冠動脈に動脈硬化が起こると、血管壁にプラークと呼ばれる”脂のかたまり”のようなものができ、これが破綻して血栓ができて詰まってしまうのです。かつては動脈の動脈硬化が徐々に進んで血管が狭くなり、あげくの果てに詰まってしまうと考えられていましたが、最近の調査で、冠動脈が半分も詰まっていない状態から、いきなり塞がることがわかってきました。 狭窄率50%未満の場合は、胸痛などの自覚症状はほとんどないため、ある日突然起こるケースが少なくありません。一方で、治療はスピードが勝負。突然、胸や背中のあたりに強く締め付けられるような痛みや、焼け付くような痛みを感じたら(時には冷や汗、吐き気、呼吸困難を伴う)、心筋梗塞が起きている可能性がありますので、すぐに救急車を呼んでください。

心筋梗塞の治療はカテーテルが中心です。

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足の付け根や手首あるいは肘の動脈からカテーテル(直径約2~3ミリ)を刺し込み、冠動脈まで進めます。 冠動脈が狭くまっているところでバルーン(風船)を膨らませ、冠動脈を内側から広げます。さらに再び狭くならないようステント(金網状の筒)を留置し、血流を確保します。

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患者さんにとっては負担の少ない治療法ですが、その技術に熟達した医師が行う必要があります。当院にはカテーテル治療に経験豊富な、熟練の医師がそろっています。

心筋梗塞にならないために、いま私たちができること。

予防対策〈その1〉生活習慣の改善に努める

心筋梗塞の発症を予防するためには、まず、動脈硬化の進行を防ぐことが重要です。食事や運動などを気をつける、十分な睡眠、ストレスをためない、禁煙など、日常の過ごし方に注意するだけでも、予防・改善の効果は得られます。

予防対策〈その2〉定期的な検査を受ける

心筋梗塞を予防するためには、冠動脈の動脈硬化を早期に発見して、早期に治療することが重要です。そのための検査として、最も効果的で受診者の負担が軽くてすむのが、最新の320列CTを使った検査方法です。特に糖尿病、高脂血症、肥満(メタボリック症候群)、高血圧、喫煙、家族歴など、心筋梗塞の危険因子を持っておられる方は、自覚症状がなくても、定期的にCT検査を受けられることをおすすめします。
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