医療情報

1986年頃からフランスで使用され、徐々に全世界に広がったリバース型人工関節ですが、日本では2014年4月に遅ればせながら認可となりました。 リバース型は今は決められた病院でしか使われていません。肩の手術経験が累計100例以上(鎖骨骨折を除く)、そして50例以上の腱板手術を行っている、日本整形外科学会の定める講習会を受講しているなど、実施する医師に基準が設けられている為です。岐阜県下では、2015年時点で岐阜大学医学部附属病院と当院だけです。
変形性肩関節症は肩関節の軟骨がすり減ってしまい、骨同志がこすれる状態になってしまっている状態です。腱板の大断裂の後に徐々に変形が進行してきたものは特に腱板断裂生関節症と言われます。こうした変形や関節リウマチ、上腕骨頭壊死、粉砕の強い上腕骨近位端骨折など通常の人工関節などでは機能改善が困難であった病態に2014年より認可されたのがリバース型人工肩関節です。 変形性肩関節症でも腱板が残っている場合には、変形した部分を取り除いて、通常の骨の構造と同様の形をした「通常型人工肩関節」に交換します。
一方、腱板が修復困難で機能改善が望めない場合には、変形した部分を取り除いて、「リバース型人工肩関節」を用いた人工関節置換術を行います。

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リバースの意味は逆転ですので、リバース型人工関節の場合、通常の肩関節の頭と受け皿の構造が真逆の形態になっております。真逆の構造にすることで、リバース型人工肩関節では、腱板の力がなくとも三角筋の力で挙上が可能となり、関節の安定化と挙上動作の改善が期待できます。  

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*通常は腱板の力❶で骨頭を回転させつつ三角筋の力❷で挙上する、リバース型は三角筋の力❷のみで回転、挙上を行う。 ただし全ての関節疾患をリバース型に置換することはできません。人工関節はリバース型も含め、いずれ緩んで入れ替える(再置換)必要が出てきますが、リバース型の場合は緩んでしまえば機能改善まで可能な再置換方法は今の所ありません。
手術としては最終手段とも言えます。手術適応には「原則70歳以上」で「他の筋肉は問題ないのに、腱板断裂によって肩の構造が壊れしまい、肩が上がらない状態」、そしてレントゲン上で「関節に変形が見受けられる状態」のときというのが基準として定められています。 術後は、通常型人工肩関節の場合、三角巾固定が約1週間必要で、その後、約3~6ヶ月間のリハビリテーションで日常生活での支障は概ねなくなります。リバース型人工肩関節の場合、装具固定が約2-3週間必要ですが、同様に、その後、約3~6ヶ月間のリハビリテーションで日常生活での支障は概ねなくなります。    

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