医療情報

img01[1] 岐阜市内のホテルで行われた 「ダ・ヴィンチ講演会」

3月10日、松波総合病院では、手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」の日本における第一人者、宇山一朗先生、橘政昭先生をお招きして、「ダ・ヴィンチ講演会」を開催しました。この講演会は、昨年12月、当院が最新鋭のダ・ヴィンチを導入したことを記念して企画されたもので、この日は県内外の医療関係者ら約200名の方々が参加。 最先端ロボット手術への関心の高さが伺われました。

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日本にまだ14台しか導入されていない、最先端の手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」。1~2cmの小さな穴より内視鏡カメラとロボットアームを挿入し、手術者は3Dモニター画面を見ながらロボットアームを操作して手術を行います。

講演1『消化器外科領域におけるロボット手術の経験』

藤田保健衛生大学 上部消化管外科 教授 宇山一朗先生

日本で初めてダ・ヴィンチを使った胃がん手術、食道がん手術を成功させたドクター。ダ・ヴィンチによる手術実績は,胃がん、食道がん、肝臓がん、膵臓がんなどあわせて70例(2011年2月現在)と日本最多。国民的英雄、王貞治さんの胃がん手術の執刀医としても有名です。 ロボット手術の利点は、「(1)術野がリアルな3D画像で表示されること(2)手振れ防止機能がついているのでより細かい操作が行えること(3)人間の手首並みの自由度を備えており、指先の動きを直感的に伝えることができること」と語る宇山先生。胃がん手術、食道がん手術など、先生がこれまで手がけてきたロボット手術の実際を、映像を見ながら解説してくださいました。「切開手術であれ、腹腔鏡手術であれ、ダ・ヴィンチであれ、どこを切除し、どこを残すかという手術そのもののコンセプトは同じ。ただ、術者がイメージした手術をより正しく、より安全に、よりクオリティ高くなるように支援してくれるのがダ・ヴィンチです」という言葉には、腹腔鏡下手術、さらにはロボット手術のパイオニアとして前人未到の道を歩んでこられた経験の重みを感じました。

講演2『我が国におけるロボット支援手術の現状と将来展望』

東京医科大学 泌尿器科学 主任教授 橘 政昭先生

東京医科大学泌尿器科学教室では2006年8月に日本で初めて前立腺がんに対するロボット支援手術を開始。以後、ダ・ヴィンチを駆使して日本で最も多くのロボット支援手術をこなしています。橘先生はその主任教授としてダ・ヴィンチの普及・指導に活躍しています。 ダ・ヴィンチによる手術は内視鏡下で行われる全ての外科手術に活用できることが実証されていますが、現時点ではその90%が前立腺がん。前立腺は骨盤の奥深くにあって手術野が狭く、複雑な術式が求められるのに対し、ダ・ヴィンチでは手術野を10倍の大きさの立体画像で観察できる上に、遠隔操作で鉗子を自分の手のように動かせるので、細かい血管や神経を傷つけない安全な手術が可能になったからです。東京医科大学で行われた150例のロボット支援下前立腺全摘出術でも、がんのコントロールと予後は内視鏡手術、回復手術とほぼ変わらないものの、出血量と合併症がかなり少ないことが際立っています。高額のコストなど課題もありますが、導入が盛んな韓国の例を見ても、ロボット手術の症例数は引き続き増加するものと思われます。
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