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あたまのかたち外来

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あたまのかたち外来のご案内

あたまのかたち外来

かつては頭の「形」は「中身」とは関係なく、自然に適度な形に治まっていくことが多く、よほどの極端な例でない限り医療の対象とはなりませんでした。しかし昨今、1か月健診における母親の相談事項として「あたまのかたち」に関する悩みは多く寄せられています。

海外では「頭蓋形状矯正ヘルメット」による治療が普及してきましたが、自費で高額なこともあり、国内での普及は進んできませんでした。しかし近年、国産の「頭蓋形状矯正ヘルメット」が数種類、医療機器の認可が下りたことにより、比較的安価となったため、急速に普及しつつあります。東京や大阪などの都市部では専門クリニックの開業が続いており、県外や遠方から患者が受診するようになっています。

 東海圏での普及はまだ限定的であり、岐阜県では数えるほどしか専門治療を行える施設がないため、当院においてこのたび10月1日より「あたまのかたち外来」を開設する運びとなりました。

診療時間・診療担当医表

⚫︎診療日:毎週(火)曜日
⚫︎時間:9:0011:30
⚫︎場所:まつなみ健康増進クリニック別館 小児科(夜尿症外来枠)

頭蓋変形の原因

頭の歪みの原因には、病的原因と病気ではない外力による変形の2つに大別されます。
⚫︎病的要因:縫合線が早期に癒合してしまう頭蓋骨縫合早期癒合症。
⚫︎外力:寝ぐせ、子宮内や産道を通るときの圧迫など(位置的頭蓋変形症と呼ばれる)

頭蓋骨縫合早期癒合症は、出生児のうち0.04〜0.1%の割合で起こるといわれています。
⚫︎赤ちゃんの脳は生後半年までに出生時の2倍、2歳までに大人の90%の大きさになるといわれています。
⚫︎急速な脳の成長に対応できるよう赤ちゃんの頭蓋骨は7つの骨のピースに分かれており、骨と骨の繋ぎ目の部分を縫合線と呼びます。
⚫︎縫合線が通常よりも早期に癒合してしまうと、頭蓋骨の拡大が起きずに、頭が歪んだ形になります。
⚫︎治療には、外科的な手術が必要になります。

基本的には、寝ぐせによる原因がほとんどです。
⚫︎頭を常に同じ位置に向けて寝ることで、接地面の成長が抑えられ、接地面以外が大きく成長し、斜頭や短頭といった頭蓋変形がおきます。
⚫︎斜頸を発症している場合は、頭を別の位置に向けることが困難なため、発症しやすい。

 

位置的頭蓋変形症の影響と治療方法

影響 基本的に、脳の成長や精神発達に影響を与えることはないといわれております。*
以下大きく2つの点で影響がある可能性があります。
整容将来的な整容面への影響。
機能頭蓋変形が顔面や耳の左右差へも影響を及ぼす場合、噛み合わせ、眼鏡がかけにくい等への問題が発生する可能性があります。
 
治療 治療方法は、理学療法とヘルメット治療の2つになります。
● 重度の歪みは、自然治癒は難しいという研究結果があります。**
理学療法赤ちゃんの頭の一定箇所に圧力がかからないようにしていきます。
● 月齢が高くなるほど、期待できる効果は薄いです(4か月以上)。 
ヘルメット赤ちゃんの頭に合わせたヘルメットで、平坦化部分の成長を促します。
● 効果は高いですが、自費診療になり、コストは高くなります。
● 治療の開始が早いほど、治療期間は短くなります。

* 「Positional Plagiocephaly」American Association of Neurological Surgeons HP
** Noto, Takanori, et al. “Natural-Course Evaluation of Infants with Positional Severe Plagiocephaly Using a Three-Dimensional Scanner in Japan: Comparison with Those Who Received Cranial Helmet Therapy.”Journal of Clinical Medicine 10.16 (2021): 3531.

位置的頭蓋変形パターン

    • 月齢が高くなるほど、期待できる効果は薄いです(4か月以上) 。

    赤ちゃんの頭に合わせたヘルメットで、平坦化部分の成長を促します。
    効果は高いですが、自費診療になり、コストは高くなります。治療の開始が早いほど、治療期間は短くなります。


    【斜頭】
    向きぐせや斜頸のある赤ちゃんにによく見られます。
    ●頭頂からみると、平行四辺形に見えることがあります。
    ●耳の左右差があることがあります。


    【短頭】
    仰向け寝の時間が長い赤ちゃんによく見られます。
    ●よく絶壁と表現されます。
    ●頭の前後の長さが通常より短いのが特徴です。


    【長頭】
    NICUで数か月過ごした赤ちゃんに見られるといわれています。
    ●保育器内で横向きの姿勢をとることが多いからといわれています。


治療の流れ

 

治療上の留意点

⚫︎ヘルメットの納期 
ヘルメット発注してから、装着するまで約2週間程度かかります。
・オーダーメイド作製のため、お時間がかかります。

⚫︎ヘルメット装着時間
23時間が推奨になります(お風呂やお手入れ以外) 
・装着時間が長いほど、平坦部の成長が促進されるため、治療効果は高くなります。専用のアプリでの記録をお願いします。

⚫︎清潔に保つ
ヘルメットを定期的に、洗浄することが肝心です。
・手入れされてないと、臭い、皮膚の炎症、不快感などの問題が発生します。

⚫︎通院頻度
月に1回程度が目安です。
治療経過や赤ちゃんに問題が起きてないか確認します。
・赤ちゃんや月齢や歪みの度合いによって、頻度に違いはあります。

⚫︎治療期間
2〜6か月が標準的な期間です。
・赤ちゃんの月齢と歪みの度合いによって、異なります。
・低月齢で歪みの度合いが低いほど、治療期間は短いです。

治療費について

治療費用は、350,000円(税込)になります。治療費用には、以下が含まれます。
・3D撮影費用
・頭蓋形状矯正ヘルメット「ベビーバンド3」
・治療終了までの診察代
費用をお支払い後、3D撮影を行い、ヘルメットの作製に入ります。尚、ヘルメットの交換や2個目については、以下の費用になります。
・破損、紛失等によるヘルメットの交換:165,000円(税込)
・治療延長希望等による2個目のヘルメットの作製:220,000円(税込)

よくあるご質問

Q.頭のゆがみ(歪み)、変形、頭の形が気になります。
A.頭のゆがみには「斜頭症」「短頭症(絶壁頭)」「長頭症」と3つのパターンがあります。これらの原因の多くは、寝ぐせ、子宮内や産道を通るときの圧迫など、病気ではない外力によります。寝ぐせでは頭を常に同じ位置に向けて寝るために接地面の成長が抑えられてしまい、成長に偏りが出ることで頭のゆがみが発生します。
基本的に脳の成長や精神発達に大きな影響を与えることはないと言われていますが、将来的に顔面や耳の左右差が発生し、噛み合わせ、視力、眼鏡がかけにくい等の問題が発生する可能性があります。

Q.頭の形を改善する方法はありますか?
A.頭の形を改善する方法には「体位変換」「タミータイム」の理学療法と「ヘルメット治療」があります。重度のゆがみは、自然治癒が難しいという研究結果があります。
なお、ドーナツ枕などの矯正用枕の効果は不明です。

Q.体位変換とは何ですか?
A.向き癖を改善することにより頭にかかる圧力を左右均等にすることが目的です。
「寝る際の頭と足の方向」「抱っこする腕、授乳の際の方向」「話しかける方向」などが同一方向になっている際にはバランスよくなるように変えます。
寝返りができない時期の赤ちゃんは、うつ伏せ寝で呼吸ができなくなる可能性があるため、寝かせるときは必ず仰向け寝にしてください。

Q.タミータイムとは何ですか?
A.赤ちゃんが起きているタイミングに、赤ちゃんをうつ伏せにして過ごす方法です。
頭、首、上半身の筋肉の発達を促進して、頭部の一定の箇所への圧力がかかることを防ぎます。
お母さんの胸やお腹、膝の上に赤ちゃんをうつ伏せにすることから始め、 慣れてきたらおもちゃや絵本で興味を引き、床の上でうつ伏せ運動を行います。
窒息を回避するため、固いマットや床の上で、必ず保護者がみている環境下で、赤ちゃんが起きている状態で行ってください。泣いて嫌がったら止めてください。
1回数分から始めて、最長1回5〜10分を1日に3〜6回(目標は、1日合計30分間以上)行ってください。

Q.ヘルメット治療について教えてください。
A.ヘルメット治療ではまず、赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせたフルオーダーメードのヘルメットを制作します。装着後、成長していない部分の成長を促し、早く成長している部分には成長を待機してもらうことで頭の形を改善していく設計です。ヘルメット治療は、頭に圧力をかけて形を変形させるものではありません。
なお、現在のところ、ヘルメット治療は、自費診療となります。費用は、各施設で異なりますので、お問い合わせください。

Q.頭がゆがんでいる気がします、自然に治るのでしょうか?
A.低月齢で頭のゆがみが軽度の場合には緩やかにゆがみが軽減されていくことがあります。しかしながら、低月齢で重度のゆがみがある場合には、首振りや寝返りが出来るようになる前にゆがみが進行してしまうことがあります。重度のゆがみは、自然治癒が難しいという研究結果があります。

Q.なぜ頭はゆがむのですか?
A.一般的な要因は寝ているときの向き癖によるものとされています。まれに(0.04~0.1%程度)病気で頭がゆがんでいることがありますが、その場合には手術が必要となることもあります。

Q.斜頭症、短頭症、長頭症とはどういう意味ですか?
A.それぞれ、頭の形を表しています。斜頭症:頭を上から見たときに左右のどちらかが斜めに凹んでいるように見える頭の形です。短頭症:頭の横幅より奥行が短い頭の形です。長頭症:頭の横幅が狭く、奥行きが長い頭の形です。

Q.ヘルメット治療の対象月齢はありますか?
A.推奨月齢は3~6か月のお子様です。7か月以上のお子様は、治療期間が通常より長くなる傾向にあり、治療目標に達しない場合があります。病院によっては、10か月あるいは1歳を過ぎている赤ちゃんは、ヘルメット治療の対象としない場合もあります。
また、ヘルメット治療における推奨月齢は、正期産のお子様の月齢となっております。早産のお子様の場合は、病院にて専門の医師へご相談ください。

 

担当医師紹介

診療科氏名
非常勤医師吉田 茂
小児科部長笠原 由貴子
まつなみ健康増進クリニック 兼 小児科医長松澤 依子

 

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