おしらせ

2025.07.10 お知らせ

【論文関連】Lancet Haematology誌に論文掲載されました

この度、世界的に著名な血液系臨床医学雑誌『The Lancet Haematology』に「血栓性微小血管症を疑わせる所見(破砕赤血球・急速な細胞減少)という稀な発症様式を呈した骨髄異形成症候群」に関する英文症例報告が掲載されることとなりました。



 『The Lancet Haematology』誌は、インパクトファクター(※1)を計算しているJournal Citation Reports(※2)で血液領域では常にトップ3に入り、「世界五大医学雑誌」の一つである『The Lancet』誌の姉妹紙です。血液系臨床医学雑誌の中でもトップクラスのインパクトファクターを有しており、論文掲載の難易度は非常に高いとされています。2023年には、Journal of Hematology & Oncology、Bloodに次いで3位であり、5年間の平均のインパクトファクターは16.3でした。

 今回の掲載に至ったことは、極めて達成困難な快挙といえます。 本症例は、血液腫瘍内科・総合内科・腎臓内科が協力して診療にあたった症例であり、当院の診療力の高さを示す内容と言えます。血液腫瘍内科では臨床の充実のみならず、積極的な学術発信にも取り組んでいます。この成果を機に、当院の医療従事者たちはさらなる研鑽を積み、地域医療に貢献していく所存です。 引き続き、多くの方々のご支援とご協力を賜りますようお願い申し上げます。
著者の先生方は以下の通りです(敬称略)
著者:李心(筆頭)、藤田慧(筆頭)、杉山諒、傍島卓也、原武志、鶴見寿
※1 :インパクトファクター:特定の学術雑誌が他の文献で引用される頻度を表す指標
※2 :Journal Citation Reports:学術雑誌の重要度や影響度を評価するためのデータベース

【症例報告の内容紹介】
 この報告では、骨髄異形成症候群による赤血球の脆弱性による赤血球の崩壊の結果、血栓性微小血管障害症を想起させる破砕赤血球が多数見られると同時に骨髄検査で骨髄異形成症候群と診断された症例について記されています。血栓性微小血管障害症は微小血管内に血小板のかたまりが生じ、血小板が消費されて減少し、閉塞した血管を通過する赤血球が破壊されて貧血が起こる疾患ですが、微小血管が障害されることで、腎臓や脳、その他多臓器に障害をきたし数日内に致命的となりうる緊急性の高い病態です。血栓性微小血管障害症の原因によって治療は異なりますが、基本的には血漿交換療法を中心とした治療が行われることが多いです。  今回の報告例では、急激に貧血と血小板減少が進行し、末梢血中に破砕赤血球が多く出現する場合であっても、骨髄異形成症候群を併発している場合は、一見血栓性微小血管障害症であるかのような多数の破砕赤血球を認めることがある(偽性血栓性微小血管障害症)ことを紹介しています。 この症例報告により、骨髄異形成症候群が偽性血栓性微小血管障害症を引き起こすことが周知され、病態のより深い理解につながることが期待されます。

【関連リンク】

The Lancet Haematology

https://www.thelancet.com/journals/lanhae/article/PIIS2352-3026(25)00047-X/abstract

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40306835/

血液・腫瘍内科HP

https://www.matsunami-hsp.or.jp/shinryouka/naika/ketsuekinaika_guide/

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