医療情報

野球などスポーツにともなう肘の障害の総称であり、障害の部位により様々な疾患が含まれます。これら障害の中で特に重篤なのは小頭障害:離断性骨軟骨炎です。離断性骨軟骨炎は軟骨の下にある骨の壊死です。詳細なメカニズムは未だ十分には解明されていませんが、成長期に生じる肘の障害です。
障害の進行によって初期、進行期、終末期に分けられます。これは簡単に言えば壊死した骨軟骨片が剥がれていく段階を示しており、終末期では完全に剥がれ落ちて遊離体(関節ネズミ)となります。 初期の90%、進行期の50%はスポーツを休止して肘への負担を軽減すること(保存療法)で、何ら障害を残さないまでに治癒します。ただし保存療法(スポーツ休止期間)には1年を要します。一方でいくつかの手術方法もありますが、多かれ少なかれ可動域制限などが残存することが多くなります。従って小中学生などにおいては将来の為に可能な限り保存療法をお勧めします。 ただし進行期の50%、終末期の90%は保存的に治癒は見込めない状態となっていき、手術が必要となります。肘の痛みを自覚して受診されるほとんどは進行期以上の障害であり、保存療法が可能なごく初期の小頭障害をみつける為には検診などで、現場で障害を拾い上げる努力も我々医療サイドには要求されます。 骨欠損の状態によって骨軟骨移植を要する場合もありますが、多くの場合は関節鏡視下に遊離部の郭清を行い、自然修復を促すことを目的とします。
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術前レントゲンおよび3D-CT

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関節鏡画像(背側から70度斜視鏡にて鏡視):浮き上がった骨軟骨片

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掻爬郭清して母床(骨形成の生じるところ)を形成
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術後6ヶ月時のレントゲン:わずかに不整な透亮像が残っているが範囲は狭くなっている。

  • images09 術前CT(側面像)
  • images10 術後1年CT:わずかに平な面が残存するがほぼ骨形態は修復されている。

手術合併症

  • 出血および輸血;内出血を含みおよそ30mlの出血が見込まれます。一般的に輸血は必要ありませんが、術後の貧血などによってはやむを得ず輸血が必要となることがあります。輸血が必要な場合は別紙説明書、同意書をお渡しします。
  • 感染症;手術のおよそ0.1%の頻度で感染症が起こります。感染の程度により再手術などを必要とする場合があります。 ※当院における肘関節鏡手術(2007.4.1~2011.8.31: 離断性骨軟骨炎以外も含む)18例で術後感染0例(0%)です。
  • 深部静脈血栓症および肺塞栓症;エコノミークラス症候群として知られる血栓、塞栓症ですが上肢の手術での発生はほとんどありません。ただし内科的疾患で血管病変が疑われる場合には注意が必要です。術後早期から肘以外は十分に力を入れて動かすようにしましょう。 ※当院における肘関節鏡手術(2007.4.1~2011.8.31: 離断性骨軟骨炎以外も含む)18例で術後血栓塞栓症0例(0%)です。
  • 再発;基本的に再発はありませんが郭清が不十分で、残った軟骨の脱落をみる場合が稀にあります。創部の痛みがなく、ある程度の可動域改善が得られればスポーツ復帰は可能です(通常2ヶ月前後)。ただし下肢、体幹を含め肘に負担のかかる投球フォームは改善されなければ他の障害も起こります。術後のリハビリが重要となりますので、1年ほどは定期受診しその都度ご相談ください。 当院における離断性骨軟骨炎で肘関節鏡手術(2007.4.1~2011.8.31)を行った10例のうち4ヶ月以上経過している8例は全例スポーツ復帰しています。ただし1例は種目変更(野球からテニスへ)、1例はポジション変更(キャッチャーからファーストへ)となっています。
  • その他;薬剤によるアレルギー性肝障害などの内臓機能障害、その他内科合併症(脳梗塞・心筋梗塞など)、神経麻痺・麻酔の遷延、ショックなど。ほかにもごく稀な不測の事態を含めて手術には危険性が伴います。
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