医療情報

内科、臨床検査部:林 慎、安田 圭吾

糖尿病で悩んでいる方、糖尿病が心配な方へ

1型糖尿病と2型糖尿病はどう違うの?

糖尿病は、大きく1型糖尿病、2型糖尿病、妊娠糖尿病に分けられます。インスリン作用不足による高血糖という基本的な異常はどのタイプの糖尿病にも共通です。しかし、1型糖尿病と2型糖尿病では、その原因が異なります。治療目標はどの糖尿病においても同じで、できる限り正常な血糖値を保つようにし、眼、腎臓、神経などにでてくる糖尿病に特有な合併症を予防し、さらに血圧や血液中のコレステロールなども正常にして、糖尿病の患者さんに非常に多い心臓や脳の動脈硬化症(心筋梗塞や脳梗塞)を予防することです。

インスリン分泌

すい臓は食物中の蛋白質や脂肪を分解する消化酵素液を分泌すると共に、ホルモンを合成し、分泌するランゲルハンス氏島(ラ氏島)という組織を持っています。インスリンはラ氏島内にあるベータ細胞でつくられ分泌されます。インスリンは1日中ほぼ一定量分泌される(基礎分泌)とともに、食事に応じて(追加分泌)食後直ちに分泌されます。

1型糖尿病

インスリン依存型とよばれることもあります。1型糖尿病ではすい臓のベータ細胞が破壊されインスリンをほとんどつくることができなくなります。通常三十歳前に発病します。ベータ細胞破壊の原因の多くは自己免疫異常ですが、原因不明のものもあります。1型糖尿病の人は、すい臓でインスリンをつくることができないので、毎日インスリン注射をしなければ、生命の危険もあります。日本人の1型糖尿病の年間発症率は、世界の他の国(欧米諸国)と比べると非常に少なく10万人に約2人です。

2型糖尿病

1997年の厚生労働省の調査では“糖尿病が強く疑われる人”は690万人、“糖尿病の可能性を否定できない人“1370万人に及んでいます。また40歳以上の約10%の人が糖尿病でした。これら日本人の糖尿病の大部分を占めているのが2型糖尿病です。このタイプの糖尿病は、現在世界中で爆発的に増加し、社会的に問題となっています。40歳以後に発症することがほとんどですが、最近はより若い世代や小児でも増えており、注目されています。2型糖尿病の人のすい臓はインスリンをつくることができるのですが、その量は十分でなく、またインスリンが細胞で適切に働かず(インスリン抵抗性)、糖尿病となります。遺伝的にインスリン分泌が少ない体質に加えて、欧米型の脂肪豊富な食生活や運動不足な日常生活、肥満や加齢など、いわゆる生活習慣を含めた環境因子がこのタイプの糖尿病の発症に関係していると考えられています。そのため、予防には食事療法、運動療法などの生活習慣の改善が重要となります。また治療は、食事療法、運動療法にくわえ経口薬やインスリンによる薬物療法を行います。
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