医療情報

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「体外で発生させた衝撃波を患部に照射する整形外科では新しい治療法です。約20年前より欧米を中心に普及し、腱付着部炎など多くの疼痛性疾患の除痛を目的とした治療に応用されています。低侵襲で安全かつ有効な治療として使用されています。ドルニエエイポスウルトラの治療時間は約30分程度、患者は座位または診察台に横たわる姿勢で治療が行えるので負担がありません。」(機器広告より) いままで保存療法と症例によっては手術とで治療してきた腱炎や腱付着部炎に対して新たな治療の選択肢が増えることになりました。薬剤を使用しないためスポーツ選手にはドーピングの心配もありません。 ただし、全ての症例に効果があるわけではありませんし、適切な保存療法(安静、減量と運動療法、装具療法、薬物療法など)が行われることは何より重要です。治療の選択においては担当医とよくご相談ください。

体外衝撃波疼痛治療について
体外衝撃波は尿管結石などの破砕術としては1980年代より使用されている技術です。これを低出力とし整形外科領域の治療に応用したものが体外衝撃波療法(ESWT)で欧米を中心に約20年前より発展してきました。骨の腱付着部における疼痛や骨折後の偽関節、骨壊死などに効果があるとされています。 *ESWT: Extracorporeal Shock Wave Therapy 当院に導入した体外衝撃波治療装置「ドルニエ Epos Ultra(エイポス ウルトラ)」は2008年に厚労省の認可を受け、国内で発売が開始された装置です。さらに2012年4月からは「難治性の足底筋膜炎の除痛」に対して保険診療が認められました(K096-2 体外衝撃波疼痛治療 5,000点→3割負担で15,000、その他に診察料など)。ただしその他の疾患については、まだ国内の保険適応が無いため自由診療(自費:1回目20,000、2回目以降10,000)となります。自由診療の場合は保険診療を同時にはできませんので、画像診断や投薬、注射あるいは同日の他科受診もできません(する場合は自費となります)。

国際衝撃波治療学会(ISMST)が認めている適応疾患
足底筋膜炎、アキレス腱炎および付着部炎、膝蓋腱炎(ジャンパーズニー)、上腕骨外上顆炎(テニスエルボー)、石灰沈着性腱板炎および腱板炎、大転子部痛、偽関節、疲労骨折、初期の無腐性骨壊死および離断性骨軟骨炎、など。 *ISMST: International Society for Medical Shockwave Treatment

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足底筋膜炎:慢性化し骨棘(↑)が出来ている。

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内視鏡手術で削除した。 体外衝撃波では骨棘は無くならないが疼痛は改善することが期待される。

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石灰沈着性腱板炎(→が石灰)

1年後、保存療法で自然に石灰は吸収されている。 体外衝撃波はこの治療経過を短縮する可能性があります。

上記のような疾患に対して約30分の外来治療を予約制で行います。治療は基本的には痛みを伴わない治療のため無麻酔ですが、部位によって痛みを感じられるようであれば適宜麻酔を使用させていただきます。 また上記のような疾患以外であっても効果が期待できる場合もありますし、逆に上記の疾患であっても骨の形態などの条件によって効果の期待できない場合もあり得ます。詳しくは担当医にご相談ください。 本治療は、特に除痛に関しては1回の治療で効果が認められるものですが、1周間程度で痛みが再燃し、その後徐々に改善していきます。改善の程度により1月ほどの期間を空けて複数回の治療を要する場合もあります。疾患によっては日にちを開けて複数回の治療を要する場合もあり得ます。 また個人差により効果が数日から1ヶ月程度で認められる場合や無効な場合もあります。

体外衝撃波による治療効果は
1.自由神経終末の変性(による除痛)とその後の再生 2.疼痛伝達物質(CGRP)の減少により中枢への疼痛伝導を抑制 3.治療部位での血管再生、組織再生因子の増加 などによるものであることが証明されてきています。最近では血管や組織再生の効果により動脈硬化性心疾患などの治療も研究されています。 *CGRP: Calcitonin gene-related peptide

体外衝撃波治療における有害事象(合併症)について
本治療における有害事象の発生は非常に少ないとされていますが、有害事象が全く無い治療というものは存在しません。本治療により起こりうる有害事象を示します。
  • 治療中および治療後の疼痛
  • 衝撃波照射部位の腫脹
  • 衝撃波照射部位の斑状または点状出血
  • 感覚異常、知覚低下、神経痛、その他の一過性もしくは永続的神経障害
  • 湿疹
  • 腱、腱膜の断裂
  • 衝撃波誤照射による組織損傷
  • 骨の異常増殖骨折治療

などが報告されています。担当医は治療中、治療後に慎重にチェックをいたします。もし異常を感じられましたら直ちにお申し出ください。

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