医療情報

当院では良性の大腸疾患(虫垂炎、憩室炎、潰瘍性大腸炎など)から大腸癌までのさまざまな腸疾患に腹腔鏡下手術を行っています。腹腔鏡下手術は、必ず全身麻酔で行います。写真1のようにおなかに4-5本の筒状の器具を刺して炭酸ガスを腹腔内に送り、いわば人工のお腹のドームを作ってその中で手術を行います。癌の手術と良性の炎症性疾患の違いは、癌の患者様にはリンパ節も一緒に切除する手術を行うのに対し、良性の炎症性疾患の患者様にはそのようなことはせず罹患した腸のみを切除する点です。おのずとその難易度は違ってきます。私たちは難しい手術をより簡単に、より安全に行うために術前様々な準備をします。その一つがCT検査を応用した3Dの血管構築画像を作成することです。動脈がどこをどのように走行しどのように分岐しているかを術前に把握しておくことで血管を損傷することなくリンパ節を切除しています。

image01 写真1:術中の様子

写真2はその3DのCT画像で、写真3は実際の腹腔鏡下の映像です。動脈は残し、患部と共に周囲のリンパ節を一緒に取ってきます。このような手術を行うことでリンパ節に転移があっても取りきれるように手術を行うことが癌の手術です。今はデジカメでお分かりのようにカメラの解像度も飛躍的に改良され見やすくなり、また個々の道具も非常にソフトな感触でつかめるように開発され、技術の進歩と私たち外科医の進歩が相まって今の腹腔鏡下大腸切除術は成り立っています。 当院では2006年1月から2009年3月までに132名の大腸癌患者様に腹腔鏡下手術を行いました。この数は同期間の開腹手術で切除した初発大腸癌患者様は78例ですので62.9%の患者様に腹腔鏡下手術で行っています。開腹既往歴のある方や腫瘍の大きい方にも腹腔鏡下手術で行っていますので132名中7名(5.3%)の方は途中で開腹術へ移行しています。合併症は表層手術部位感染3例、腹腔内手術部位感染4例、腸閉塞3例、吻合部出血1例を認めましたが皆様元気に回復されています。2007年9月以降では合併症はゼロになっています。腹腔鏡下手術のメリットは傷が小さくて済むことです。それは表面の傷だけにとどまらず小腸などまわりの臓器へのダメージも小さくでき、その結果回復が早くなることが最大のメリットと考えています。当院では外科部長の小林建司が日本内視鏡外科学会認定の技術認定医を大腸部門で取得(岐阜県では唯一人)し、安全かつ確実な腹腔鏡下手術を行っています。当院は岐阜県下の腹腔鏡下大腸切除術のリーダーとして地元中濃地区の皆様始め広く岐阜県や愛知県北部の方々に最新の医療を提供していくためにさらなる努力と躍進を続けてまいります。
  • image02 写真2:3D CT画像
  • image03 写真3:腹腔鏡下の映像
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